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by pachifu

OCZ「Z-Drive R4」で究極のSSD性能を知る



 Z-Drive R4シリーズは、クラウドコンピューティングやデータセンターといったエンタープライズ用途向けに開発されたSSDだ。Serial ATA接続を採用する通常のSSDと異なり、PCとの接続方法はPCI Express 2.0 x8を使用する。OCZ独自の仮想化コントローラ技術である「VCA 2.0」を採用、サーバ用途では必要不可欠なSCSIコマンドセットもサポートする。
 この記事で評価する“Cシリーズ”は、大容量でフルハイトサイズの「CM88」と、小容量でハーフハイトサイズの「CM84」というように、サイズごとにラインアップを分けている。容量は、フルハイトモデルが800Gバイト、1.6Tバイト、3.2Tバイトをそろえ、ハーフハイトモデルは、300Gバイト、600Gバイト、1.2Tバイトを用意する。フルハイトモデルは拡張カードの幅が約98.4ミリ、ハーフハイトモデルは、約68.91ミリとなっている。
 スペックに記載しているZ-Drive R4シリーズの性能は、フルハイトモデルでシーケンシャル読み出し、シーケンシャル書き込みともに2800Mバイト/秒、1秒間に実行できる4Kバイトファイルデータの読み書きの回数を示すIOPSの数値は、50万IOPS、4Kバイト書き込みに関しては41万IOPSとなる。ハーフハイトモデルでは、シーケンシャル読み出し、シーケンシャル書き込みともに2000Mバイト/秒、1秒間に実行できる4Kバイトファイルデータの読み書きの回数を示すIOPSの数値は、26万IOPS、4Kバイト書き込みに関しては25万IOPSとなる。
 いずれにしても、サーバ用モデルならではの“爆速”だ。この性能は、Intel SSD 520などでも利用しているコントローラ「SandForce 2281」を、フルハイトモデルのRM88で8個、ハーフハイトモデルのRM84で4個搭載して、それぞれを、同社のOCZ SuperScalストレージコントローラで制御する。
 このように、本製品は現時点におけるSSDに導入できるスペックの頂点ともいえるモデルだが、その分、価格も頂点を極めている。フルハイトCM88の800Gバイト「ZD4CM88-FH-800G」が実売約120万円、1.6Tバイト「ZD4CM88-FH-1.6T」が実売約220万円、3.2Tバイト「ZD4CM88-FH-3.2T」にいたっては約400万円と、高級国産車や外国車級だ。フルハイトモデルより価格設定が低いハーフハイトCM84では、300Gバイトの「ZD4CM84-HH-300G」が実売約50万円、600Gバイト「ZD4CM84-HH-600G」が実売約88万円、1.2Tバイト「ZD4CM84-HH-1.2T」が実売約152万円と、フルハイトモデルの価格を知った直後に聞くと確かに安い。
●見た目はPCI Express対応の拡張カード
 今回の性能評価で用いたのは、フルハイトモデルのRM88シリーズで容量1.6Tバイトの「ZD4CM88-FH-1.6T」だ。通常のSSDと異なり、専用ドライバのインストールが必要だ。ただ、評価用の機材には、ドライバCDが添付されていなかったため、OCZのWebページからドライバ(1.3.6.17083 )をダウンロードしてインストールしている。対応OSは、Windows 7、Server 2008、Linux Red Hat Enterprise 6.1となっている。Windowsに関しては32ビット、64ビット両方のドライバを用意する。
 この「ZD4CM88-FH-1.6T」の性能をベンチマークテストで検証した。ベンチマークテストと評価用システムの構成については、先日掲載した「OCZ Vertex 4」のレビューと共通にした。ただし、OSのセキュリティアップデートなどについては最新のものを適応している。なお、価格もスペックもSerial ATA接続のSSDから飛ぶ抜けてしまっているZ-Drive R4シリーズだが、その飛び抜け加減を知るために、ベンチマークテストの結果では、OCZ Vertex 4のスコアも併載しておく。
●CrystalDiskMark v3.0.1C
 テストファイルのサイズに1000Mバイトと4000Mバイトを選択し、メニューから設定を変更して、デフォルトと「0」連続して書き込む「0Fill」を計測した。テストサイズ1000Mバイトのシーケンシャルリードでは、1184Mバイト/秒、4000Mバイトで1163Mバイト/秒、0fillでも1000Mバイトで1222Mバイト/秒、4000Mバイトで1211Mバイト/秒と、すべて1000Mバイト/秒を超えている。シーケンシャルライトについても、1000Mバイトのランダム以外はほぼ1000Mバイト/秒を超えている。公称値の2800Mバイト/秒には及ばないものの、Z-Drive R4のの飛び抜けた性能が分かる。
 512Kバイトや4Kバイトの細かなファイルをランダム読み書きして性能を測るランダムリード・ライトをみると、512Kバイトに関してはシーケンシャルと同様の傾向になる。1000Mバイトのランダムのスコアでは、1131Mバイト/秒、4000Mバイトで936.6Mバイト/秒、0fillでは、1000Mバイトで998.3Mバイト/秒、4000Mバイトで933.7Mバイト/秒とこちらも高い数値を出している。
 一方で、4KバイトになるとVertex 4との差はほとんどなくなる。1000Mバイトでリード時34.49Mバイト/秒、ライト時83.88Mバイト/秒、4000Mバイトでリード時33.50Mバイト/秒、ライト時79.01Mバイト/秒、0fillでは1000Mバイトでリード時35.65Mバイト/秒、ライト時79.51Mバイト/秒、4000Mバイトでリード時35.95Mバイト/秒、ライト時79.97Mバイト/秒である。Vertex 4は4Kバイトライトが強い傾向があり、部分的に本製品を上回るところもある。NCQ使用時のランダム4Kバイトの性能を調べる4K QD32の項目では、すべてでVertex 4をリードで2倍、ライトで2.5倍程度上回っている。
●HD Tune Pro 5.00
 基本性能を測定する「Benchmark」テストの結果は、CrystalDiskMarkと極端に変わらない。ただ、64Kバイトのリード時とライト時に広範囲で転送速度のブレが見られる。「FileBenchmark」でも、時折ライトが落ち込む現象を確認した。SandForce製コントローラでも起きる現象だが、複数個コントローラーを搭載しているせいか、ブレ幅が大きく感じられる。「File Benchmark」を見てみると、NCQ使用時のランダム4KBの性能を調べる「4K random multi」の数字はCrystalDiskMarkの時と同様に高い数字となっている。「4K random single」の数字がVertex 4と変わらないのも同じ傾向だ。
●PCMark 7
 通常は性能差の出にくいPCMark 7のテスト結果だが、画像データの取り込みを行う「importing pictures」やアプリケーションの起動速度を調べる「starting applications」では大きな差が出た。このくらいの差になると体感でも確実に分かる。
●AS SSD Benchmark 1.6.4237.30508
 ISOイメージファイルや、プログラム、ゲームパッケージなどのファイルコピーを行う「Copy-Benchmark」と、データの圧縮効率をみるために転送速度の変化グラフを表示する「Compression Benchmark」をテストしている。Copy-Benchmarkについては、ほかのベンチマークと同様の傾向だが、Compression BenchmarkではSandForceコントローラの影響で圧縮効果が出ている。ただ、グラフの傾向はSandForceコントローラ単体搭載のSSDでは圧縮率が上がるほど転送速度が上がるのに対し、本製品では全体的には横ばいで、圧縮率45〜70パーセント付近では転送速度が下がっている。
●次世代SSDが目指すスペック
 正直なところ、Z-Drive R4とVertex 4のベンチマークテスト結果を並べてみても、性能差(そして、価格差も)がありすぎるため、その結果を比較することにはあまり意味がない。他のSSD同士の比較が誤差にしか見えないレベルだ。価格についても、個人で手の届く範囲ではない。そういう意味では、このベンチマークテストの結果は、現時点で最高級のSSDとは、こういうものだという意味で見て楽しんでもらえれば幸いだ。
[長畑利博,ITmedia]
by pachifu | 2012-07-04 03:01