クアッドコア×グロッシーカーボンでUltrabookを



 性能と携帯性の妥協なき両立――。ソニーのフラッグシップ・モバイルノートPC「VAIO Z」はこのテーマを掲げ、同社の薄型化技術や軽量化技術、そして先進的な仕様をこれでもかと詰め込み、進化を重ねてきた。
 「VAIO type Z」として2008年夏に登場してから、大きなモデルチェンジを2回経て、今や高級志向の最上位モバイルノートPCとして、不動の地位を築いたといえる。
 6月9日に発売された2012年夏モデルでは、従来のフルフラットな薄型軽量ボディやドッキングステーション「Power Media Dock」を接続できるセパレートスタイルを引き継ぎつつ、基本システムにIvy Bridgeこと第3世代のCoreプロセッサー・ファミリーが核となるChief Riverプラットフォームを採用した(Ivy BridgeとChief Riverは開発コード名)。
 そして、ソニーストア限定のVAIOオーナーメードモデル(SVZ1311AJ)では、VAIO生誕15周年を記念した限定カラーモデル「VAIO 15th Anniversary Collector's Edition」も用意されている。今回はその15周年記念モデルを中心に、新しいVAIO Zの実力を検証していこう。
●カーボン素材を目立たせたプレミアム感たっぷりのデザイン
 VAIOの発売15周年を記念して用意された限定カラーは、「グロッシープレミアムカーボン」だ。VAIOノートの薄型化・軽量化技術の象徴であるカーボン素材をフィーチャーしたプレミアムなボディカラーとなっている。
 ボディには、軽量で優れた剛性を誇る東レ製のカーボン素材をぜいたくに使用。最新鋭の中型旅客機「ボーイング787」でも利用されている素材だ。天面にはカーボン層の間に特殊シートを挟むことでより軽量化しつつ剛性を高めた「ハイブリッドカーボン」、さらに底面の外装にもカーボンを採用している。艶やかな光沢の奥にカーボン繊維のヘアラインが透けて見える表面仕上げも秀逸で、プレミアム感たっぷりのビジュアルに仕上げている。
 さらに、ブラックのヒンジ(通常モデルはシルバー)に記念モデルであることを示すスペシャルな刻印を施しているのも見逃せない。その内容は世界共通で「15th ANNIVERSARY COLLECTOR'S EDITION MADE IN AZUMINO, JAPAN」というもので、長野県安曇野にあるVAIOノートの上流設計/生産拠点の技術力を誇る内容だ。記念モデルとしての所有欲をかきたてる心憎い演出といえる。
●薄型軽量ボディはそのままに、バッテリー駆動時間を延長
 素材、カラー以外のボディの基本設計は従来モデルと同一だ。フルフラットなボディのサイズは330(幅)×210(奥行き)×16.65(高さ)ミリで、重量は約1.15キロ(最軽量構成時)。これは現行の店頭モデル(SVZ13119FJB)の約1.17キロよりも若干軽い。今回入手したVAIO Zの実測重量は1.132キロと、公称値よりさらに軽かった。詳しいスペックは後述するが、パワフルかつ非常に薄型で軽量といえる。もちろん、キッチリとタイトに組まれた高い剛性感も健在だ。
 底面に8本のコインネジで固定されたリチウムイオンバッテリーの容量は45ワットアワーで、公称のバッテリー駆動時間は約7.5〜9.5時間と長め。底面に装着して使うシート型の拡張バッテリー(49ワットアワー)もオプションで用意されており、これを利用すると駆動時間を約15〜18時間(公称値)に延ばせる。このシートバッテリーを装着しても厚さは24.75ミリ、重さは約1.69キロ(最重量値)に抑えられ、超長時間駆動のモバイルノートPCとして十分実用できる。
 なお、先代モデル(VPCZ22AJ)との公称バッテリー駆動時間の違いは表にまとめた。最低駆動時間が短くなっているのは、クアッドコアCPUが選択できるようになったことが大きいと思われる。逆に最低構成や店頭モデルではCPUの動作クロックが200MHz上がっているにもかかわらず、駆動時間は30分延びており、第3世代Coreの新プラットフォームを採用した効果は公称スペックからも感じられる。
 標準で付属するACアダプタ(65ワット)は、実測でのサイズが45(幅)×106(奥行き)×27(高さ)ミリ、電源ケーブル込みでの重量が257グラムだ。小型のPC本体に比べると少し大きめだが、本体と一緒に携帯して苦になるほどではない。
 なお、ドッキングステーション装着時は別途ドッキングステーション用のACアダプタ(120ワット)が必要で、ドッキングステーションとの接続ケーブルからPC本体に給電されることになる。仕様的に仕方がないが、ドッキングステーション用のACアダプタは実測でのサイズが61(幅)×141(奥行き)×30(高さ)ミリ、電源ケーブル込みの重量が435グラムと、大型な点は少し残念だ。
●通常電圧版Ivy Bridgeを採用、ついにクアッドコアも搭載可能に
 基本システムには、モバイル向けの第3世代Coreプロセッサー・ファミリー(Ivy Bridge)に、Intel 7シリーズチップセットを組み合わせたChief Riverプラットフォームを採用している。3Dトランジスタ技術を世界に先駆けて導入した22ナノメートルプロセスルールによって、第2世代Core(開発コード名:Sandy Bridge)以上に高いレベルで高性能と低消費電力を両立していることが特徴だ。
 通常電圧版CPUへのこだわりも継承されている。CTOメニューでの選択肢はすべて超低電圧版(TDP 17ワット)ではなく、よりパフォーマンスの高い通常電圧版(TDP 35ワット)だ(TDPは熱設計電力の意)。省電力で発熱が低い超低電圧版のCPUを使えば、薄型化と軽量化は容易だが、超低電圧版は通常電圧版に比べて動作クロックが低く、そのぶん性能も低い。性能と携帯性の高度な両立をテーマに掲げるVAIO Zでは通常電圧版の搭載にこだわってきたが、今回もその方針にブレはない。
 CPUの選択肢は、今回入手したVAIO Zにも搭載されているクアッドコアのCore i7-3612QM(2.1GHz/最大3.1GHz/3次キャッシュ6Mバイト)のほか、Core i7-3520M(2.9GHz/最大3.6GHz/4Mバイト)、Core i5-3320M(2.6GHz/最大3.3GHz/3Mバイト)、Core i5-3210M(2.5GHz/最大3.1GHz/3Mバイト)、Core i3-3110M(2.4GHz/3Mバイト)が用意されている。ハイエンドからエントリーまで選択肢は豊富だ。
 中でもクアッドコアのCore i7-3612QM(2.1GHz/最大3.1GHz)には注目したい。CPUにコア(命令を解釈して処理する部分)を4つ内蔵するクアッドコアモデルは、動画エンコードなどマルチスレッド処理性能が非常に優れているが、消費電力や発熱が高い傾向にあり、第2世代Coreでは45ワットのTDPが最低だったため、モバイルノートPCへの搭載はとても考えられるものではなかった。
 第3世代Coreでは22ナノメートルプロセスルールの導入により省電力が大きく改善。クアッドコアでTDP 35ワットをうたうCore i7-3612QMが登場したことにより、ついにクアッドコアの搭載が可能になった。もちろん、TDPが35ワットになったとはいえ、16.65ミリ厚で1キロそこそこの薄型軽量モバイルノートPCへの搭載は困難だ。最高峰の薄型化・軽量化技術、放熱技術が投入されているVAIO Zだからこそ、実現できた快挙といえる。
 Core i7-3612QM(2.1GHz/最大3.1GHz)は、定格の動作クロックが2.1GHzだが、Turbo Boost 2.0に対応しており、4コアアクティブ時で最大2.8GHz、2コアアクティブ時で最大3.0GHz、1コアアクティブ時で最大3.1GHzまでクロックが上昇する。
 Turbo Boost 2.0による動作クロックの幅が大きいだけに、Turbo Boostがきちんと機能するかどうかも気になるところだが、4コアがアクティブになるCINEBENCH R11.5の実行中は、最後までCPUのスペック通り、2.8GHzで動作していることが確認できた。
●メモリはPC3-12800に高速化、USB 3.0は2基に、もちろんSSD RAIDも
 チップセットは、第3世代Coreに最適化されたIntel H77 Expressを採用する。CPUが世代交代したことに伴い、メモリは従来のPC3-10600(DDR3-1333)からPC3-12800(DDR3-1600)に高速化した。専用薄型モジュールで提供され、容量は4Gバイト(2Gバイト×2)、6Gバイト(4Gバイト+2Gバイト)、8Gバイト(4Gバイト×2)の3種類から選べる。ユーザーによる増設はできないが、いずれもデュアルチャンネル転送に対応するという。
 データストレージはSerial ATA 6Gbpsに対応した高速SSDをデュアルで利用したRAID 0構成となっており、単体のSSDを大きく超える性能を実現している。このSSD RAID構成もVAIO Zの突出した性能を象徴するパーツの1つだ。容量は128Gバイト、256Gバイト、512Gバイトの3種類を用意している。
 通信機能は1000BASE-Tの有線LAN、Bluetooth 4.0を標準装備。無線LANはWiMAX+IEEE802.11a/b/g/n(排他利用/MIMO 2×2)のほか、WiMAXなしのIEEE802.11a/b/g/n(MIMO 2×2)、WiMAXなしの高速IEEE802.11a/b/g/n(MIMO 3×3)が選べる。また、無線WAN機能として、NTTドコモのLTE高速データ通信サービス「Xi」対応モジュールの搭載が可能だ。
 そのほか、CTOメニューでは、ノイズキャンセリングヘッドフォン、指紋センサー、TPMセキュリティチップ、“Exmor for PC”CMOS センサー搭載HDウェブカメラ(有効画素数131万画素)の有無などを選ぶことが可能だ。
 本体装備のインタフェースは、チップセットの進化に合わせて、USBポートが2基ともUSB 3.0対応となった(1基はドッキングステーション接続コネクタ兼用)。有線LAN、HDMI出力、アナログRGB出力、PRO-HG対応のメモリースティック デュオスロットと、SDXC/SDHC対応のSDメモリーカードスロットも備えており、通信機能にも拡張ポートにも妥協がない。
●広色域のフルHD液晶ディスプレイはVAIO Zならでは
 液晶ディスプレイの表示解像度、表示品質のよさもVAIO Zならではの魅力だ。
 表示解像度1600×900ドット/NTSC比100%(u'v'色度図による)の広色域に対応した通常パネルに加えて、1920×1080ドットのフルHD解像度/Adobe RGBカバー率96%と、さらなる高解像度・広色域に対応したプレミアムな液晶パネルを選ぶこともできる。
 ともに光沢パネルに低反射コートを施し、鮮やかな表示ながら映り込みも多少抑えている。いずれもVAIOブランド内のグレードとしては最上級になる「VAIOディスプレイプレミアム」の名を冠しており、表示品質も非常に良好だ。
 広視野角パネルではないので、上下の視野角が狭いのは惜しいが、液晶ディスプレイを開くと本体奥側がせり上がって角度が付く構造になっており、ヒンジの角度は約145度(接地面に対して)まで開くので、見やすい角度に調整できる。
 ちなみにビジュアル面だけでなく、オーディオ面にも配慮がなされており、内蔵スピーカーの音圧を強める「xLOUD」、自然でクリアな音声を再現する「Clear Phase」、サラウンド音響が手軽に楽しめる「Dolby Home Theater v4」に対応している。
●アイソレーションキーボードの選択肢も豊富
 キーボードは、VAIOノートでおなじみのアイソレーションデザインを採用。CTOメニューでは、日本語配列でかな刻印の有無が選べるほか、英語配列も選べる。また、キーボードバックライトの有無まで選択可能だ。
 キーピッチは横が約19ミリ、縦が約17.5ミリ(実測)、キーストロークは約1ミリとなっている。キー配置は6列仕様で、ストロークが浅く、カーソルキーが一段下がっていないなど、薄型設計の影響は見られるが、特にミスタイプを誘発するような部分はない。キータッチは軽めだが、剛性が高く、強めにキーをたたいても、たわみなどは気にならないだろう。パームレストの奥行きは81ミリと長く、手をゆったり置ける。
 なお、2011年に初登場した際は約1ミリという浅いキーストロークが少数派だったが、最近ではUltrabookを中心にこのくらいのストロークの製品が増えてきている。ストロークの浅さは好みが分かれるところだが、約1ミリストロークのキーボード3��しては、よくできているほうだ。
 キーボードの奥には電源ボタンのほか、「ASSIST」「WEB」「VAIO」の3つのワンタッチボタンを備える。ASSISTはサポートソフトの「VAIO Care」、WEBはWebブラウザ、VAIOは任意に設定したアプリケーションの起動や動作を割り当てることが可能だ。
 タッチパッドは左右のクリックボタンを一体化したクリックパッド型となっており、パッド部分には細かいテクスチャが施されている。タッチパッドのサイズは実測で73(横)×41(縦)ミリとやや狭いが、普段の操作で窮屈さを感じるほどではない。表面のザラザラした手触りは好みが分かれそうだが、指の滑りはまずまずだ。
 タッチパッドの配置はキーボードのホームポジション直下ではなく、ボディの左右中央なので、キー入力時は右手の親指がパッドに少しかぶるような格好になる。
 シナプティックスのドライバが導入されており、2本指を前後/左右になぞることで上下/左右のスクロールが行えるほか、2本指の開閉による拡大/縮小、3本指ではじくことでの写真/ページ送りといったマルチタッチジェスチャー機能が利用可能だ。
 タッチパッドと一体化した左右のクリックボタンはストロークが浅いが、軽めの力で押下でき、スイッチの感触は悪くない。
●GPU内蔵のドッキングステーション「Power Media Dock」を利用可能
 VAIO Zのグラフィックス機能は、CPU内蔵のIntel HD Graphics 4000を用いているが、外部GPUを内蔵した「Power Media Dock」と呼ばれるドッキングステーションを接続することで、グラフィックスパフォーマンスを大幅に強化することができる。
 この外部GPUはドライバの改良により、従来より約25%も性能がアップしているとのことで、ブランディングナンバーも従来のRadeon HD 6650Mから、Radeon HD 7670Mへと改められている(GPU自体は同じものであるという)。
 Power Media Dockには、このRadeon HD 7670M(1Gバイト)のほか、スロットインタイプの光学ドライブ(BD-REドライブまたはDVDスーパーマルチドライブ)、ディスプレイ出力端子(HDMI/アナログRGB)、USB 3.0、USB 2.0×2、有線LAN(1000BASE-T)といったインタフェースも備えており、本体とはLight Peakベースの光伝送技術(片方向10Gbpsの双方向)で接続される。こうした仕様は従来通りだ。
●クアッドコアによる圧倒的なパフォーマンスを実証
 さて、新しいVAIO Zの実力はいかほどのものなのか、ベンチマークテストで検証してみよう。今回テストした構成は、Core i7-3612QM(2.1GHz/最大3.1GHz/6Mバイト)、メモリ8Gバイト、Intel HD Graphics 4000、SSD RAID 512Gバイト、1920×1080ドット液晶、64ビット版Windows 7 Ultimate(SP1)という内容だ。Power Media Dockも用意し、装着時と非装着時の両方を計測している。
 また、参考として店頭モデル(SVZ13119BJF)も合わせて計測した。こちらのスペックは、Core i5-3210M(2.5GHz/最大3.1GHz/3Mバイト)、メモリ4Gバイト、Intel HD Graphics 4000、SSD RAID 128Gバイト、1600×900ドット液晶、64ビット版Windows 7 Home Premium(SP1)となっている。一部テストでは、2011年秋冬モデルのハイスペックなVAIOオーナーメイドモデル(VPCZ22AJ)のスコアも併記した。
 Windowsエクスペリエンスインデックスのスコアは、プライマリハードディスクが7.9、メモリが7.8、プロセッサが7.5と、いずれもモバイルノートPCとして極めて高いレベルだ。Power Media Dock装着時と非装着時のグラフィックス/ゲーム用グラフィクスのサブスコアの差は0.3と意外に少ない。
 PCMark 7では、特にPCMarks、Creativity、Computationの3項目で大きくドックなしのほうが高いスコアをマークした。共通しているのは動画変換処理を含んでいることで、Intel HD Graphics 4000のハードウェアエンコード機能「Intel Quick Sync Video 2.0(QSV 2.0)」の効果と思われる。以前のモデルでも同様の傾向は見られたが、第3世代CoreではQSVの高速化が図られているため、偏りが顕著になっているようだ。
 総合スコアの6805という数値は、現行のハイエンドデスクトップPCすら上回るスコアだが、さすがにこれが実際の快適度に直結するとは言いがたい。基本性能の比較にはQSV非対応のPCMark Vantageのほうが適しているといえる。こちらではほとんどの項目でドックありのほうがスコアがよく、3D描画性能が問われるGamingでは24%の差が付いた。また、ドックあり/なしともに先代機(VPCZ22AJ)に比べて約35%のスコアアップを果たしており、第3世代の進化、クアッドコアの威力が感じられる。
 CINEBENCH R11.5のレンダリングテストも実施した。さすがにクアッドコアCPUだけあって、デュアルコアの店頭モデルに比べて2倍近いスコアが出た。このスコアは同じCore i7-3612QMを搭載している14型ノートPC「HP Pavilion dv4-5000」とほぼ同じであり、薄型軽量ボディでもCore i7-3612QMのフルパフォーマンスが発揮できていることが分かる。
 3D描画性能では、先代機(VPCZ22AJ)に比べてドック非装着時の進化が著しく、CPU内蔵グラフィックスの高性能化がみられる。ドック装着時でも3DMark Vantage/Performanceでスコアが31%アップするなど順調にパワーアップしているが、ドック非装着時はほぼ2倍になっているため、相対的にドックあり/なしの差は縮まった。
 ドックあり/なしの差は、3DMark Vantage/Performanceで約35%、ストリートファイターIVベンチマーク(1920×1080ドット/高負荷設定2)では約13%、MHFベンチマークの1920×1080ドットは約53%と、タイトルによってずいぶん効果は異なるようだ。
 SSDのパフォーマンスはCrystalDiskMark 3.0.1で測定した。同じSSD RAID 0でも書き込み性能は512Gバイトのほうが圧倒的によいことが分かる。コントローラにもよるが、SSDは容量が大きいほうが性能がよい、というのはよくあることだ。
 また、電源ボタンを押してからデスクトップおよびタスクバーにアイコンがそろうまでの時間はどちらも22秒前後だった(VAIO Gateランチャーは非表示)。スリープからの復帰は約2秒、ほぼ一瞬という感覚だ。今回から独自の高速起動/低消費電力ソリューション「Rapid Wake + Eco」が導入されており、省電力スリープによって、スリープ状態で長時間バッテリーを持続させながら、液晶を開くとすぐに復帰できる。
●バッテリー駆動時間、静音性、発熱をチェックする
 バッテリー駆動時間については、海人氏のBBench 1.01を利用して測定した。無線LAN以外のBluetooth、GPSなどはオフにした状態でネットに常時接続し、「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」の設定でテストを行なっている。電源プランは標準の「バランス(ディスプレイ輝度40%)」を利用した。
 この条件でバッテリー駆動時間は5時間44分(残り5%)だった。公称値(約7.5時間)には及ばないまでも、クアッドコアCPUを搭載しながらもモバイルノートPCとして十分実用的なバッテリー駆動時間を実現している。店頭モデルは7時間17分(残り5%)で、こちらも公称値(約9.5時間)には及ばないものの、かなりのスタミナを実証している。
 静音性も悪くない。低負荷時でもファンは回転しているが、よっぽど静かな部屋でないかぎり、耳を近づけなければ分からない程度だ。CPUにマルチスレッドで連続して負荷がかかるような状況では2つの内蔵ファンによる風切り音がかなり大きくなり、やはりクアッドコアモデルのほうが、デュアルコアモデルに比べて大きな音がする。高回転時のファン動作音が独特の金属的な高音という印象は従来モデル同様だ。
 また、Power Media Dock接続時は本体のヒンジから15センチ奥にドックを設置したが、ドックのファンはそれなりに回っているものの距離があり、本体側のファンはそれほど回らないため、ドック接続時のほうが静かだった。
 薄型ボディながら発熱の処理も優秀だ。システムに高い負荷をかけ続けると、底面中央部の左寄りはかなり熱を持つものの、操作時に手を置くパームレストまではあまり伝わってこない。
●さらに磨きがかかったプレミアムなモバイルノートPC
 VAIO Zの直販モデルは最小構成で12万1800円、15周年記念カラー9��択時(グロッシープレミアムカーボンカラー)の最小構成で13万1800円だ。そこからカスタマイズしてCore i7-3612QM、メモリ8Gバイト、SSD RAID 512Gバイト、フルHD液晶を選択した今回の評価機とほぼ同じ性能の構成(Power Media Dockなし)で見積もると24万7800円となる(価格はいずれも2012年6月27日現在)。
 薄型軽量ボディに広色域フルHD液晶、高速なSSD RAIDを搭載し、シートバッテリーやドッキングステーションによる拡張性も備えるなど、従来から継承する魅力に加えて、CPUが第3世代に進化したことで、クアッドコアCPUの搭載も可能にしつつ、長時間のバッテリー駆動時間を実現するなど、VAIO Zならではの付加価値にはさらに磨きがかかった。
 VAIO Zは、ボディの薄さ、バッテリー駆動時間、レスポンス、いずれもインテルが大々的に宣伝しているUltrabookの要件を満たしている。しかし、VAIO ZはUltrabookではない。超低電圧版CPUではなく、通常電圧版CPUを搭載しているためだ。つまり、高性能すぎるがゆえにUltrabookを名乗れない。
 おそらく、このまま超低電圧版CPUに載せ替えるだけでUltrabookとして販売できないこともないと思われる。それをせず、性能、機能ともにグレードを下げた「VAIO T」をUltrabookとして用意したのは、インテルのUltrabook構想のずっと前から、魅力的な小型軽量/薄型軽量ノートPCを独自の研究開発によって提供し続けてきたソニーのプライドの現れだろうか。
 インテルのお膳立てにより、ソニーでなくとも(VAIO Zでなされているような特別な研究開発をしなくとも)、デザインに優れた魅力的な薄型軽量ノートPC(Ultrabook)が作れるようにはなったが、それでも依然としてこのVAIO Zの付加価値、プレミアムな存在感は際立っている。これらに魅力を感じるならば、決して高すぎるということはない。
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
[PR]
by pachifu | 2012-06-28 18:49