“演歌歌手”日野美歌、作詞で新境地!桜は“生”へのエール



★大人のエンタメ
 日野美歌(49)は1983年に大ヒットした「氷雨」で一世を風靡した“演歌歌手”である。その意味では“Jポップ”に軸足を置いてきた私にとってテリトリーではなかった。
 3カ月ほど前に所属レコード会社の担当プロモーターからオファーがあった。私がパーソナリティーを務めるFM NACK5の番組「Age Free Music!」にゲスト出演できないか、と。
 3年ほど前から私は〈Age Free Music〉を提唱している。演歌・歌謡曲でもない。Jポップでもない。大人の音楽をそう名づけて推奨しているのだ。
 送られてきた日野のニュー・シングル「桜空」を聴いて、これは大人の良質な音楽で紛れもなく〈Age Free Music〉である、と判断しゲストに来ていただいた。
 尋ねると作詞の「歌凛」は日野のペンネームだと言う。2003年から彼女は作曲家の馬飼野康二に勧められて作詞を始めている。はじめは消極的だったが、迷いながらも馬飼野に励まされ、意外に書ける自分を発見する。こうして馬飼野の曲に初めて詞をつけた「桜が咲いた」ができあがった。「自分の違う扉がそこにパカーンと開いた感じでした」という。“シンガー・ソングライター”への道が切り拓けたのだ。
 08年にはインディーズで「横浜フォール・イン・ラブ」というジャズテイストあふれる大人の雰囲気が漂うアルバムを発表。特にタイトル曲は歌凛・馬飼野コンビによるちょいワル男と女が織りなす“熟恋歌”として話題を呼んだ。こうしてキャリアを積んできた彼女が満を持して放った自信作が「桜空」だ。テーマは「桜プラス生きる」だという。
 「去年あんなに悲しいことがあったのにいろんな場所から桜の便りが届いてきて、春が来て桜が咲いているということの現実感。桜が私たちに生きろと言っているようにしか思えなかったんです」
 日本に桜の花が咲くかぎり、「桜空」もまた歌い続けられるに違いない。時代が彼女に〈大人の歌〉を作らせたのだろう。(音楽評論家・富澤一誠)
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by pachifu | 2012-06-26 16:27