シャープ、ホンハイとの協業第1弾は中国向けスマートフォン



 シャープは8日、都内で経営戦略説明会を開催した。新社長に就任した奥田隆司氏から説明が行われた。
 シャープでは今年3月、製造業大手の台湾ホンハイ(鴻海、FOXCONN)グループとの資本提携を発表している。その際は、液晶パネル生産を手がける堺工場の運営などを行うシャープディスプレイプロダクト(SDP)などへの出資が明らかにされ、スマートフォン分野での協業も示されていたが、今回、もう一歩、踏み込んだ形で、ホンハイと進める事業体制の説明が行われた。
 会見では、ホンハイとの協業第1弾として、スマートフォン事業に取り組むことで合意したと発表。マーケティングや商品企画はシャープが基本的に戦略を立案するとのことで、両社共通のプラットフォーム、工場、調達力を活かして、中国市場において、複数モデルを複数キャリアに2013年度から供給する。
 奥田社長は、質疑の中で「シャープ1社で中国市場で戦うのは、デジタル商品のコモディティ化(他社との差別化要因が少なくなる状況)で、難しくなっている」と説明。ホンハイグループの中にも独自のプラットフォームを保有しているところがあるとして、1000円〜4500円のゾーンをターゲットに端末開発を進め、ローエンドの低額モデルはホンハイグループのプラットフォームを活用する一方「LTEなどハイエンドモデルはシャープの技術、という形を考えている」と説明した。中国国内での販路は、シャープが既に築いている販売網を利用する。
 これまでもシャープは、中国市場向けに携帯電話を供給しており、基本的にハイエンドモデルは日本国内で生産し、ローエンドモデルは現地で生産という形だった。ローエンドの現地生産は、自社で手がけるもの、あるいは他社へ生産を委託するものがあるが、どこへ委託してきたかは明らかにされていない。こうした体制は、今回の発表を受けて、ホンハイとの協業という形に変更されることになり、2013年度からその成果が中国市場で試されることになる。
 なお、現時点で携帯電話事業におけるホンハイとの合弁会社の設立という考えはないとのこと。
■ 大型液晶生産事業は分離
 ホンハイとの協業として、もう1つ、堺工場の安定操業を目指すことも明らかにされた。クリスマス商戦に向け、当初の予定を前倒しして、第2四半期から製造したパネルの一部をホンハイが引き受ける。
 SDPは、シャープとホンハイ、大日本印刷、凸版印刷が出資する形となり、シャープ本体から切り離され、独立した経営体制になる。これによりホンハイとの協力体制の相乗効果を目指す。堺工場の稼働率を上げつつ、ホンハイとの共同部材調達などを進めて、コストを抑えつつ、利益拡大を図る。SDPからシャープへのパネル販売は市場価格で取引する。
 開発・要素技術などはシャープに残す一方で、大型液晶事業本部の1300人が新SDPへ移動し、シャープ社内から同部署が消滅する。
 生産するパネルはシャープ、ホンハイがそれぞれ引き受ける見込み。奥田社長は「この2年の赤字はほぼ大型液晶に起因するモノで、思い切って切り離し、経営の安定化を図る。ホンハイからの出資は5月までに各国での申請が完了し、行政手続きが完了次第、予定通り、出資が完了する」とした。またテレビ製造については、ホンハイと関わりのあるサプライヤー、テレビメーカーとの間で、工場の操業率向上に向けて、デザインを含めた打ち合わせを重ねているとのこと。
 このほか、シャープは新型の液晶ディスプレイ用素材として「IGZO(アイ・ジー・ゼット・オー)」の開発を進めている。6月1日には新技術開発が発表され、モバイル向けにも展開する方針が示されている。こうした点については、タブレットやスマートフォン、ノートパソコン(Ultrabook)のほか、医療機器や業務用機器など用途拡充を目指す。
■ 国内では新規市場で需要創出狙う
 「経営戦略説明会」と題する今回の会見で、奥田社長はは、ホンハイとの取り組みに加え、今後、日本国内市場に向けて新たな領域の商品を創出すると説明した。
 1カ月前の5月8日、シャープは、スマートフォンと連携するロボット掃除機「COCOROBO」を発表している。シャープの戦略は、掃除機や電子レンジ、冷蔵庫など、家電の一般的な製品群で戦うのではなく、健康志向やエコなどを取り入れ「ヘルシオ」やLEDといった製品を提供するカテゴリーにシフトし、さらに新たな価値を付加する製品を提供する、というもので、先述した「COCOROBO」は、新カテゴリーにシフトした上で新たな価値を加えた製品、という位置付けになる。
 これを「新オンリーワン戦略」とするシャープは、ホンハイとの取り組みとあわせ、「復活に向けたシナリオ」の1つとしている。
 奥田社長は、デジタル商品は技術だけで勝てる分野ではないとして、その分野での勝利は、生産リスクの軽減、独自成長戦略が必要と分析。これまでは垂直統合モデルでやってきたが、グローバルでの競争で生き残りが難しくなってきたとして、生産力・調達力に強いホンハイと組み、生産リスクを軽減しながら、コモディティ化した分野で逃げることなく、積極果敢に取り組み、独自技術のオンリーワン商品を想像するビジネスモデルを構築する。
 これらの取り組みで、重点分野とする健康環境、ビジネス機器、モバイル液晶、ソーラーという4事業の売上を現在の40%から今後60%への引き上げを中期目標として掲げる。また国内外の売上比率は現在50%ずつだが、海外60%、国内40%にすることも中期目標とされている。具体的な商品事業、海外事業での取り組みは、別の機会に副社長から説明が行われる。
 奥田社長は、SDPの分離などで有利子負債の圧縮を図り、在庫調整を行うことが明らかにされ「シャープは一歩ずつ着実に成果を出し、業績と信頼を回復する」と語った。
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by pachifu | 2012-06-09 00:14