若者の間で話題の「ジョージアクロス」、その人気の背景を探る



缶コーヒーと言えば、ターゲット層は30代から50代。若者には馴染みがない飲み物だ。しかし、日本コカ・コーラが昨年11月に発売した「ジョージアクロス」が缶コーヒー市場の常識を覆し、ソーシャルメディアを中心に若者の中で話題となっている。
「ジョージアクロス」は、缶コーヒー国内トップシェアの「ジョージア」にこれまでになかった異なる価値を掛け合わす=“クロス”することで、新しいライフスタイルを創り出すという斬新な新ブランドで、第1弾としてコーヒーに抹茶を掛け合わせた「ジョージアクロス 和-STYLE(和スタイル)」を昨年11月に投入。5月16日にはその第2弾としてコーヒーに「紅茶のシャンパン」と呼ばれているダージリンティーを掛け合わせた「ジョージアクロス UK-STYLE(ユーケースタイル)」を発売した。
なぜ、いま“クロス”することが若者に支持されるのか。味香り戦略研究所の味覚参謀である菅 慎太郎氏にお話を伺った。
-- 一般的に、食品を「掛け合わせる」や「混ぜ合わせる」という概念が生まれたのには、どのような背景があるのでしょうか?
菅 慎太郎氏:これまでは"うま味を足す"とか"アクを抜いて苦さを引く"といった具合に、「足し算」「引き算」という概念で味を作り出していました。しかし、今となってはあらゆる種類が出尽くしてしまった印象があります。新しいものをつくりだすためには新たな試みが必要となり、そこで出てきた概念が「掛け算」「割り算」です。こういったチャレンジの積み重ねにより、新たな味が生まれるのです。
-- 一時期「ちょい足し」という言葉が流行りましたが、「足す」と「掛け合わせる」との決定的な違いはどのようなことだと思いますか?
菅 慎太郎氏:「足す」というのは主従の関係でいうと『従』にあたります。メインのものに、ある要素を追加するということなので、ブームにはなり得るものの、一時的なもので終わってしまいます。一方、「掛け合わせる」というのは、本流と本流の組み合わせなので、主従の関係では「主」にあたり、そのものをどう変えたいかという考え方になります。それは、いわばベストセラーではなくロングセラー、つまり新たなスタンダードをつくるということであり、「足す」では実現することができません。これが「足す」と「掛け合わせる」の決定的な違いだと思います。
-- 若者の味覚へのこだわり方に傾向があれば教えてください。
菅 慎太郎氏:若年層は「苦み」に対する受容性が高い傾向にあります。「苦み」というのは刺激であり、「苦み」を受け入れることは、基本的にはストレス社会における痛みへの対処行動であると考えられます。ストレスを解消するには、実際に"人に話す"のが本来の人間の特性ですが、インターネットの普及により、その機会が減っているのは事実であり、ストレスを解消する手段が圧倒的に少なくなっています。それを補うために、飲料に「苦み」を求めることで、ストレスを解消しようとする傾向にあるのです。
-- 「ジョージアクロス UK-STYLE」が実現しているコーヒーと紅茶(ダージリンティー)の掛け合わせの相性はいかがですか?
菅 慎太郎氏:相性は良いと思います。コーヒーと紅茶は、どちらも「苦み」を代表する飲み物ですが、それらが掛け合わさることで、「苦み」に奥行きが出て、味わいに深みが出ている、というのが一番の特徴だと思います。また、コーヒーにあるクセと、紅茶特有の後味の部分が、双方が補う形でネガティブな部分をうまく消し合っているというところもポイントだと思います。
菅氏によると、「『掛け合わせ』という概念は、貿易(=文化の交わり)が盛んな場所で生まれる傾向がありますが、インターネットの普及により、いわばバーチャルな意味での貿易という要素も加わって、『掛け合わせ』は加速しているのでは」という。インターネットで様々な価値観に触れながら、今までにない掛け合わせで新たな体験を楽しみたいという嗜好性が「ジョージアクロス」が若者に支持される要因のひとつだと考えられる。そして、今回発売された「ジョージアクロス UK-STYLE」は、ストレスに悩む若者の増加、そしてインターネットの普及によるストレス解消手段に対する新たなニーズなどを背景に、第1弾に引き続き若者の支持を集めることが予想される。
[PR]
by pachifu | 2012-06-07 11:07