回復期と訪問リハのギャップを埋めるには-訪問リハ研究大



 家に戻ってはじめて気付く問題も―。全国訪問リハビリテーション研究会(伊藤隆夫会長)はこのほど、茨城県つくば市で第19回研究大会を開催した。研究大会では、「訪問リハビリテーションは回復期リハビリテーション後を受け止めることができるか」をテーマに、シンポジウムが行われた。訪問リハビリを提供する医療者と回復期リハビリ病棟の医療者が、病院と在宅の間にあるギャップなどについて話し合った。
 筑波記念病院(つくば市)の理学療法士の宮崎仁さんは、同院で働くリハビリスタッフの多くが経験年数3年未満で、訪問リハビリの経験もないことから、患者の退院後の生活についても、なかなかイメージできていないと話す。このようなことから、回復期リハビリ病棟に入院して早い段階で、家に戻るための家屋調査などに努めている。宮崎さんは、病院では遠慮して言えないことでも、家ではこんな生活を送ってきた、家に戻ってこれがしたいといった要望も聞くことができると言う。
 牛尾病院(茨城県龍ケ崎市)の理学療法士の中園徳生さんは、訪問リハビリは、患者が在宅で生活して気付く問題に対し、アドバイスできるのが大きなメリットだとした。
 病院と在宅では、生活環境も異なるため、ミスマッチが生じることもあると指摘する。家屋調査を行ったと病院から説明を受けたものの、患者が家で暮らし始めて、1週間、1か月してから問題が生じることも経験する。
 中園さんは、訪問リハビリを提供する上で、患者には在宅生活を長く、楽しく過ごしてほしいという思いがあるが、在院日数が短くなっている病院では、在宅に復帰させることに集中せざるを得ない状況もあるため、意識の上でもギャップがあると感じている。
 いばらき診療所訪問看護ステーション(ひたちなか市)の作業療法士、高堀康裕さんは、在宅に戻る際は、家の環境だけでなく、本人や家族の心理的な状況やストレスも考慮する必要があると言う。実際、在宅に戻って1か月で家族が疲れてしまい、訪問リハビリに相談が来ることもある。
 高堀さんは、生活環境を整備するには、時間が必要であり、ベテランだからといって、すぐに適切な評価ができるわけではないことから、早い段階で訪問のスタッフも、在宅復帰にかかわりたいと話す。
 また、訪問リハビリが他の職種から知られていないことを危惧する。存在は知っていても、実際何をしているのか分からない人が多いほか、機能訓練のイメージが強いと言う。今後も訪問リハビリについて伝えていく必要があると言う。
 シンポジウムの最後には、座長の伊藤隆夫会長が、さまざまな職種と働く中で、リハビリ専門職が一緒にできることは何か、何を伝えていけばよいのか考えてほしいと訴えた。
 2012年度の介護報酬改定では、訪問リハビリ事業所と訪問介護事業所の連携が評価された。これに関して伊藤会長は、以前から介護職との連携をしてきたと話す人もいるが、本当に十分だったのかと指摘。「もう一度自分たちにできることをしっかり伝えながら、地域の支援力を高めてほしい」とした。
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by pachifu | 2012-06-06 00:38