内田博が魅せた好判断、ゴールドシップ鮮やか一冠=皐月賞

 3歳牡馬クラシック第一冠、第72回GI皐月賞が15日、中山競馬場2000メートル芝を舞台に争われ、内田博幸騎乗の4番人気ゴールドシップ(牡3=栗東・須貝厩舎、父ステイゴールド)が優勝。最後方からただ1頭、4コーナーで馬場のインを突く大胆戦法をズバリと決め、三冠レースの初戦を鮮やかに制した。やや重馬場の勝ちタイムは2分1秒3。
 同馬はこれでJRA通算6戦4勝。重賞は今年2月のGIII共同通信杯に続き2勝目。内田博は菊花賞(08年オウケンブルースリ)、日本ダービー(10年エイシンフラッシュ)に続き牡馬クラシック三冠を全制覇し、開業4年目の須貝尚介調教師は騎手時代を通じてこれがうれしいGI初勝利となった。
 一方、福永祐一騎乗の2番人気ワールドエース(牡3=栗東・池江厩舎)は外から猛然と追い込むも2馬身半届かず2着。さらに3/4馬身差の3着には岩田康誠騎乗の3番人気ディープブリランテ(牡3=栗東・矢作厩舎)が入り、1番人気に支持されていたミルコ・デムーロ騎乗のグランデッツァ(牡3=栗東・平田厩舎)は5着に敗れた。
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 向こう正面では最後方だった馬が、勝負どころの4コーナーを回って最後の直線を向いた時には、一気に先頭へと抜け出す勢い。まるで手品のようなポジションアップに場内がどよめいた。
「とにかく隊列が長かったですからね。それにみんな外に出していたし、これ以上外に出したら不利になるだろうと思って、3コーナー手前で内を走らせてみたら伸びが良かったんです。これなら外に出す必要もないかなと」
 明暗を分けた3〜4コーナーの攻防、内田博がこう振り返った。2カ月続いた開催の最終日に加えて、前日の大雨の影響もあり馬場のインは傷んだ状態。何も皐月賞に限らず、この日行われた芝レースでは、各馬こぞって馬場の真ん中よりさらに外に進路を取っていた。
 当然、この皐月賞でもいかに馬場コンディションのいいコースを取るかが、勝負の分かれ目かと思われた。だが、内田博はそれを逆手に取ったのだ。ジョッキーの脳裏には、思い切ってインに“舵”を切ったとき、ある1頭の馬が浮かんだという。
「エリザベス女王杯を勝ったスノーフェアリー、あれだ!と思って(笑)。そのつもりで乗りました」
 ライアン・ムーアとのコンビで2010年と11年のエリザベス女王杯を連覇し、英&愛オークス、香港カップも制したイギリスの名牝。特に初来日だった10年エリザベス女王杯で見せた、最内を一気に突き抜けての4馬身差圧勝パフォーマンスがあまりにも鮮烈だった。そのスノーフェアリーに重ね合わせた騎乗。それを瞬時に実行に移せるのだから、やはり内田博幸という騎手はただ者ではない。
 だが、内田博は今回の勝利を自分の手柄とするのではなく、馬の能力があったから、と強調する。
「こんなにハマるなんてね。でも、馬場が馬に合っていたし、馬の力があったからこそ、こういうことが出来たんだと思います。ゴールドシップはこれまでも常に強いレースをしていたし、負けても一番タフなレースをしていた。この馬の能力が皐月賞という大舞台で証明できてうれしいです」
 一方、騎手時代を通じて初のGIビッグタイトルを手にした須貝調教師は「格別の思いです」と喜びを語った。
「馬主さんをはじめ、厩舎スタッフ、関係者の努力、内田騎手の好騎乗……すべてに感謝しております」
 ゴールドシップの母ポイントフラッグは、父・彦三氏のもとに預託され、須貝調教師が騎手時代にコンビを組んでオークス、エリザベス女王杯に出走。11着、10着と結果は残せなかったが、その5番目の子で大輪を咲かせた。
「僕がジョッキーの頃からのゆかりの血統なんですが、お母さんは背中が硬かった。でも、ゴールドシップは本当に背中が柔らかい。ここが種牡馬ステイゴールドの良さなんでしょうね」
 ポイントフラッグの父はメジロマックイーンであり、ゴールドシップは父ステイゴールド×母父メジロマックイーンという組み合わせ。そう、昨年の三冠馬オルフェーヴルと同じだ。今一番ホッとな血統背景と来れば、やはり日本ダービーでの二冠、秋の菊花賞での三冠を期待してしまう。
「今日のレースでも抜け出して1頭になった後は遊んでいたくらいですから、距離は延びるほどいいですね」
 須貝調教師がダービーへの明るい展望を語れば、内田博もまずは二冠への自信、そしてさらなる激闘に思いを馳せた。
「課題だったゲートも今日の感じなら大丈夫。東京コースの方が合っていますし、距離も延びる方がいい。ただ、強い馬はたくさんいますからね。そういった馬たちとの勝負でもっと競馬を盛り上げて、みんなでいい競馬をつくれればと思いますね」
 “船長”内田博の好判断と“黄金船”ゴールドシップの能力がガッチリ噛み合い奪取した一冠目。今回以上に条件が好転するという5月27日の府中決戦では、さらなるパフォーマンスを見せててくれるのか。父ステイゴールド×母父メジロマックイーンの新たなるスターホースが、三冠ロードへいざ出航だ。
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by pachifu | 2012-04-16 11:37