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by pachifu

15歳のニューヒロイン渡部、涙の五輪決定 鈍感力で立て

 競泳のロンドン五輪代表選考会を兼ねた日本選手権の6日目が7日、東京辰巳国際水泳場で行われ、女子200メートル平泳ぎ決勝では鈴木聡美(山梨学院大)が2分22秒99で優勝。100メートルに続き、五輪代表に決定した。さらに、高校1年生・15歳の渡部香生子(JSS立石)が2分23秒56で2位に入り、ロンドン行きを決めた。女子高生スイマー渡部は涙の五輪切符獲得となった。
「誰にでもチャンスがあるレースだった」。競泳日本代表の平井伯昌ヘッドコーチがそう振り返ったように、決勝はまさに手に汗握る大接戦だった。特にラスト50メートルは誰が抜け出してもおかしくない状況。終盤、鈴木がわずかにリードを奪ったため、注目は2位争いに。選手が一斉にゴールにタッチした次の瞬間、電光掲示板の2位に表示されたのは新星・渡部の名前だった。
 上位5人が派遣標準記録(2分25秒38)を切った事実が、いかにハイレベルな争いが繰り広げられたかを物語っている。渡部も「タイムは派遣標準記録を切れると思っていたので、2位以内に入れるように死ぬ気で泳ぎました」と代表権を勝ち取るため、記録よりも勝負に徹した。結果、最後の50メートルは36秒39という最速ラップをたたきだし、自己ベストを更新。持ち前の後半の強さを発揮した。
 レース直後のインタビューでは感極まり、涙を流す場面もあったが、それには理由がある。今大会、渡部は100メートル平泳ぎを失敗。凡庸なタイムで予選全体15位と大きく出遅れ、心が折れた。見かねた麻績隆二コーチからは「棄権してもいいんだぞ」と言われたほどだ。それでも何とか気持ちを切り替え、泳ぎを立て直した。
 そして「100メートルでダメだったことは全部忘れて、200メートルで結果を残そう」と臨み、見事に有言実行を果たした。苦しんだ末につかんだ代表権だけに、こみ上げるものがあった。そんな渡部を支えたのは、麻績コーチいわく「いい意味での鈍感力」だ。あまりくよくよしない、精神的な強さが、大一番での気持ちの切り替えを後押しした。平井コーチは「100メートルの予選を見たときに完全にダメかなと思ったけど、よくぞここまで立ち直ってくれた」とたたえ、「(五輪で)冷静な泳ぎができればメダルも狙える」と高く評価した。
 中学時代に脚光を浴び、まだあどけなさが残る渡部の姿に、かつての岩崎恭子さんを重ねる声もある。ちょうど20年前の1992年バルセロナ五輪で当時14歳の岩崎さんは同種目で金メダルを獲得した。くしくもこの日、表彰式のプレゼンターを務めたのが、その岩崎さんだった。渡部は岩崎さんから「おめでとう」と祝福の声をかけられたという。今夏のロンドン五輪では、望む望まざるに関わらず、岩崎さんと比較され、あの偉業の再現を期待されることだろう。
 当の本人は「五輪で結果を出すことが目標。予選からベストを尽くして決勝に残りたい。表彰台は難しいかもしれないけど、そこを目指して頑張っていきたい」と憧れの舞台での抱負を語る。15歳の夏、ニューヒロインはロンドンで何を見せてくれるのか。今から楽しみにしたい。
by pachifu | 2012-04-08 17:00