第2回

キャンパスで使う「dynabook R631」:
 薄くて軽いだけじゃない。使いたいときにすぐに使える高速起動や、どこでも持ち運べるような長時間のバッテリー駆動を実現する……これらはインテルが提唱するUltrabookのコンセプトだが、低電圧版のCPUやSSDなど、ハードウェアだけで実現しているとは限らない。dynabook R631連載の第2回は、Ultrabookの要件を支えるユーティリティソフトを検証する。
●起動を取るか、シャットダウンを取るか
 大学生のころは授業に遅刻することが多かった。朝一の授業は絶望的で、ゼミの教授が担当する授業すら……。教室に入ったらすでに授業が始まっていた、そんなときにノートを取るPCの起動が遅かったらどうだろう、焦りは募るばかりだ。起動が早いUltrabookはこんなときに重宝する。
表:起動時間の比較、ほか(plusd.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1203/28/news038.html)
 dynabook R631には、さらに起動を早くする「東芝高速スタート」機能がある。この機能はBI0S処理とプログラムの読み込みを最適化し、起動時間を短縮するというものだ。dynabook R631はストレージにSSDを採用するため、もともと起動はそこそこ高速なのだが、東芝高速スタートでどれだけ効果があるか確かめよう。
 東芝高速スタートと通常起動、それぞれ電源を入れてからデスクトップが表示されるまでの時間を3回ずつ計測した。ログインには必ずパスワードが必要となるよう設定しており、指紋認証を使ってログインしている。
 結果を見ると、東芝高速スタート機能を利用した方が平均値で約5秒ほど早い。17秒と22秒ということで大きな差だとは感じなかったが、17秒でデスクトップ画面が開く起動の速さは非常に快適だ。電源ボタンを押してから30秒程度で、Webブラウズを始められる。
 高速起動の快適さを生かすなら、指紋認証システム「Toshiba Finger Print」も導入した方がいいだろう。認証のスピードは2秒ほどで、パスワードをキー入力するより楽だ。読み取りに失敗することもほぼなく、初回設定は2〜3分で行える。
 しかし、東芝高速スタートにはデメリットもある。起動時間と同様に、両者のシャットダウンにかかる時間を比較すると以下のようになった。
 東芝高速スタートを設定すると「次回の起動準備をするため」(東芝)、シャットダウン時にかかる時間が通常より10秒ほど長くなる。急いでシャットダウンしなければならないときは通常のシャットダウン、1日の終わりにPCをシャットダウンする場合は高速スタートモードで、といったような使いわけもできる。
 ちなみに、スリープ/休止状態からの復帰時間も調べたが、それぞれ約2秒、約15秒だった。特にスリープ状態から指紋認証を含めて5秒程度でデスクトップが表示されるのは、使っていて気持ちがいい。
 参考として、妹の愛機となったStudio XPS 13の起動時間も計測した。主なスペックはOSはWindows Vista(64ビット版)、CPUはCore 2 Duo P8600(2.53GHz)、ストレージは500GバイトのHDDだ。パスワードはなく、ログインはユーザーのアイコンをクリックするだけで行える。デスクトップ表示までの時間と、Webブラウザが起動するまでの時間(Webブラウジングのために起動したと仮定)をそれぞれ3回ずつ計測した。
 dynabook R631と比較すると、Webブラウザが開くまでに約100秒の差がある。学生時代に「ノートPCは起動が遅くて、立ち上げるのが面倒だからあまり使わない」と言った友人に衝撃を受けたことを覚えているが、R631の起動を目の当たりにすると、一般的なノートPCの起動時間にイライラする気持ちが分かった。
●ACアダプタを持ち歩きたくない
 個人的にdynabook R631で最も評価しているのは携帯性の高さだ。もちろん軽さも評価しているが、それ以上にバッテリー動作時間の長さが気に入った。それは学生時代にACアダプタを日々持ち歩いた経験からきている。
 ACアダプタは意外に重い。Studio XPS(約2.2キロ)のACアダプタは376グラム(実測値)だった。重い上にかさばるのでバッグの中にも入れづらい。ちなみにdynabook R631のACアダプタは240グラム(実測値)。たった240グラムなのだが、これでもバッグに入れると意外に重さを感じる。
 PCを1日中持ち歩いてもバッテリーが切れないならば、ACアダプタは持ち歩く必要はない。モバイルPCにとって、バッテリー動作時間や省電力機能は注目するポイントだ。dynabook R631をはじめとする東芝製PCには、省電力モードの電源プラン「eco」モードや、消費電力をグラフ化して省電力設定を確認できる「東芝ecoユーティリティ」が備わっている。
 dynabook R631の標準電源プランは「eco」「バランス」「高パフォーマンス」「省電力」の4種類があり、東芝ecoユーティリティを使えば、各設定ごとの消費電力や省電力設定も確認できる。
 詳細設定を参照すると、各設定間の差異はこのほかに内蔵グラフィックス、CPU発熱時の対処、動画再生時の画質などがある。省電力設定と通常設定(または高パフォーマンス設定)では、高負荷時にパフォーマンスに差が出る。
 各設定でWebブラウジングや文書作成などを試してみたが、ecoモードや省電力モードでも十分だった。輝度に関しては蛍光灯がある屋内、大学ならば教室内で作業するならレベル2〜3で十分だし、キーボードバックライトもあまり必要ない。
 ただし、ディスプレイが2分で切れ、スリープモードへ5分で移行という設定は好みが分かれそうだ。授業のノートを取るなど、集中してPCに向かっているときなら、この設定でも支障はないだろう。一方で、友達と雑談をしながらPCで作業するなら、これでは少し短すぎる。ちょっと目を離せば、ディスプレイの電源がすぐに切れてしまう。いちいちタッチパッドに触れて、ディスプレイを復帰させるのは少々面倒だ。
 最も消費電力を抑えるには、ecoモードの設定で輝度を1まで落とす。これだと消費電力は4〜5ワット(アイドル時)となる。この状態でBBench 1.01(海人氏作)の標準設定のまま、IEEE802.11n接続環境下で実行したところ、満充電から残量2%で休止状態になるまで約7時間15分で、ecoモードの動作時間より15分程度長くなった。
 筆者の出身大学はフルコマで授業を受けた場合、90分×5コマで450分(7時間半)となる。もちろんすべての授業でPCを使うことはまれだろう。だが、筆者もゼミに入ってからは午前11時から午後8時まで、9時間ほど断続的にPCを使う日は確かにあった。dynabook R631のバッテリー動作時間は公称値で9時間だが、eco設定をうまく使えば公称値に近づけるような使い方もできる。
 ecoモードは、キーボード左上にある「eco」ボタンを押すとecoモードのオン/オフを切り替えられ、東芝ecoユーティリティも起動する。ワンアクションで動くので、輝度を変えるためのボタンだと思うとなかなか使い勝手がよい。
 ただ、ecoモードはタスクバー内に設置されたアイコンから設定できることもあり、キーボード上のボタンを使わなくてもよい。不必要に感じるなら「ボタンサポート」ユーティリティで、ecoボタンに別のアプリケーションを割り当てるのもいい。ecoボタンの右にある「インテルワイヤレスディスプレイ」の起動ボタンも同様だ。授業でノートを取るなら、メモ帳やWordなどの文書作成ソフトなどを割り当てておくと便利だろう。
●ちょっとうれしい「スリープアンドチャージ」機能
 バッテリーや起動時間ほど重要な機能ではないが、PCの電源オフ時やスリープ時にUSB機器に給電できる「東芝USBスリープアンドチャージ」機能もちょっとうれしい機能だ。スマートフォンのバッテリー切れのときに役立つ。もちろん普段からモバイルバッテリーは持ち歩いているが、モバイルバッテリーの残量がなくなったこともたまにある。そんな緊急時の手段としては有効だといえる。
 個人的にはキャンパスの中よりも、飲み会中などで積極的に使いたい機能だ。飲み会中に充電しておき、帰り道でのバッテリー切れを防ぐ。飲み会に遅刻したりすると、店の場所を確認したり、連絡を取ったりでバッテリー残量が少なくなってしまうことも多い。
 また、電源オフ時も給電できるところがいい。わざわざ電源を入れる必要もないし、PCをバッグの中にいれたまま充電だってできる。電源をオフにしておけば、給電を行うよう設定して放置してもバッテリーの消費が抑えられるはずだ。実際、どれほどのバッテリーを使うのか、USBスリープアンドチャージを設定したのち、3時間放置/3時間スマートフォン(EVO WiMAX ISW11HT)を充電して、バッテリーの消費を調べた。
 スマートフォンは最大でも3時間ほどで満充電になるので、電源がオフなら満充電にするとしてもバッテリーの消費は20%程度だ。緊急時に使うことを想定するならば、別に満充電にする必要もない。50%もあれば少なくとも半日は持たせられる。そうなればdynabook R631のバッテリー消費は10%ほど。バッテリー残量をあまり気にすることなく、気軽に充電できる。
 バッテリー動作時にこの機能を使うときは、残量が一定の値(下限値)になると給電を止めるよう設定できる。初期設定では下限値は10%となっているが、USBスリープアンドチャージ機能を常時オンにしておく場合、PCのバッテリーが切れるリスクが高くなるので、下限値は20%や30%程度にしておく方が無難だ。逆にPCのバッテリーをそれだけ残しておけば、スマートフォンをいつでも満充電にできるという保険にもなる。
 dynabook R631をはじめとして、Ultrabookはボディの薄さや軽さ、デザインなどハードウェア面のこだわりに目がいきやすいが、指紋認証や省電力機能などのユーティリティソフトも使いやすさの向上に貢献している。dynabook R631にはかゆいところに手が届くような細かいユーティリティが多く、知っているとちょっと得をするはずだ。
[池田憲弘,ITmedia]
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by pachifu | 2012-03-29 12:41